からだの豆知識 第3回 『ポリフェノールって何?抗酸化って何?』

2010年10月2日
植物の力『フィトケミカル』を知ってみよう。

ワインで有名なポリフェノール、美容や健康の効果をよく耳にすると思います。
ポリフェノールとは植物成分の一つでその構造が、ポリ(たくさんの)フェノール(ベンゼン環にOH)という共通の形をもったもののグループの呼び名です。
ポリフェノールと呼ばれるものの中にはワイン、お茶のカテキン、ブルーベリー、ぶどうのアントシアニン、ウコンのクルクミン、柿渋のタンニンなど様々なものがあります。
ポリフェノールはその抗酸化作用でしられるようになりました。
私たちが野菜として、また、サプリ、メディカルハーブとして口にする植物の抗酸化力について見直してみましょう。


夏の暑い日私たち人間は紫外線から身を守るために日陰に逃げ込みます。
虫が寄ってくれば追い払ったり、安全な場所に避難します。
動けない植物はどうしたらいいでしょうか?

植物は自らを紫外線や害虫から守るために抗酸化物質や抗菌物質を作ります。
紫外線の強い亜熱帯地域が原産の植物(インド、沖縄原産のウコンなど)が抗酸化作用を持つのはこうした自然の摂理によるものです。

栄養の少ない土地に育つと植物は限られた栄養を自分の成長か、外敵から身を守るためかどちらに使うか選択します。成長を遅くして害虫から身を守る抗菌作用を身に付けたものにプロポリスで有名なブラジルのアレクレンなどがあります。

ユーカリ コアラの好きなユーカリの葉。オーストラリアにいらした方なら経験されたかと思いますが、ユーカリの森に近づくと鼻にツンとする鋭い香りがし、葉からでる精油成分で森全体がもやっと霞に包まれたように見えます。その精油成分には外敵から身を守るために、抗菌、抗ダニ作用があり、ユーカリを植えた土地は水はけがよくなり蚊が発生しなくなるともいわれます。

また寒い荒れた地で精一杯の栄養素を溜め込んだ植物もありそれぞれの環境変化に適応しています。

植物は光合成によりブドウ糖を作りそこから自らの生命を維持するための成分を成合性します。そのときに植物が動物と違う植物独自の様々な化学物質を作ります。それをフィトケミカル(植物栄養成分)といいます。どんなフィトケミカルが作られるかはその植物の置かれた環境により異なり、フィトケミカルはその構造の違い科学的性格の違いでフラボノイド、アルカロイドなどのグループ分けがされています。


それでは酸化とはどういうことでしょうか?
お料理に使った残り油が茶色く濁ってしまうことがありますよね。あれは油のなかの不飽和脂肪酸と酸素が反応して酸化してしまった結果です。光、熱、金属などの作用が加わり油の中の分子の本来対になっているはずの電子が単独の不安定な状態(ラジカル)になります。このラジカルは安定な状態を作るために隣の分子から電子を奪い取ります。
これが次々に連鎖していき過酸化脂質という別の油になることで油の色も変わってしまします。
これを人間に置き換えてみましょう。
我々の細胞の一つ一つにある細胞膜も不飽和脂肪酸という油(脂質)でできています。よって私たちが呼吸をして酸素を取り入れること、また紫外線、ストレスなどが作用することで身体の酸化(さびつき)による肉体や肌の老化がおこるのです。


活性酸素とは何でしょうか?
私たちが吸った酸素の中で攻撃的(フリーラジカル)になったものです。
細菌やウイルスなど有害なものを退治してくれるので適量であれば必要なものです。

しかし量が増えすぎるとその強い酸化力で私たちの細胞、臓器を傷つけてしまいます。
酸素は血液にのってあちらこちらに運ばれ、DNAそのものを傷つけガンを作ったり、過酸化脂質を作ることにより様々な成人病の原因を作ります。


活性酸素を退治する強い味方。
SOD(スーパーオキシドディムターゼ)
グルタチオンペルオキシターゼ
カタラーゼ

我々の身体には増えすぎた活性酸素を消去してくれる酵素が備わっています。
これらは活性酸素を過酸化水素と水と酸素に分解してくれます。
しかし残念ながら、これらの酵素は加齢とともに活性力も量も減ってしまいます。そのためこれらの酵素を活性化する物質を外から取り入れる必要が生じます。

そこで注目されるのが自らの体内に抗酸化物質を蓄積させたフィトケミカル(植物栄養素)です。
色鮮やかな野菜や果物を毎日の食卓に取り入れるのも大切です。
効率よく抗酸化物質を吸収できるサプリメントも役に立つのではないでしょうか。

薬剤師K
一覧へ戻る