からだの豆知識 第6回 『太ってる人ほど痩せにくい?』

2010年12月8日
メタボリックシンドロームの指針とされるウエストまわり、男性85cm、女性90cm。
なぜ女性の方が太くてOKなのか?それは妊娠、出産のエネルギーとして蓄える皮下脂肪の分を考慮されるからだそうです。
出産のご予定のない女性とその下にある内臓脂肪の条件は男女平等ですので油断しないでくださいね。

脂肪燃焼のために運動をしているのに痩せないのはなぜでしょうか?
原因の一つに脂肪を過剰に蓄積した内臓脂肪の脂肪細胞が大きくなりすぎていることが考えられます。
脂肪細胞にはUCP-1という脂肪燃焼に関わる遺伝子があります。その遺伝子を働きやすくしてあげれば脂肪細胞から脂肪滴が放出され、脂肪細胞が小さくなってくれます。

ではUCP-1を働かせるにはどうしたらいいでしょうか?
運動をしてノルアドレナリンが出るとそれを脂肪細胞がキャッチしてUCP-1が働きます。
ノルアドネナリンが出やすい運動は心拍数120になるような、30分間のウォーキングなどです。
ところが、すでに肥大している脂肪細胞はノルアドレナリンに対して反応が鈍くなってしまっているのが現実です。

大きくなった内臓脂肪からはアポサイトカインという悪いホルモン用物質が出て腸から肝臓への血管に入ります。
血中から全身に慢性の炎症をおこし、動脈硬化、高血圧、糖尿病などにつながります。

一方脂肪細胞からは善いホルモン用物質アディポネクチンが出ます。
これはインスリンの働きを高め動脈硬化を予防します。
しかし、この善玉アディポネクチンは小型の脂肪細胞から盛んに分泌され、脂肪が蓄積するにつれて分泌量が減ってしまいます。

さて、すでに蓄積してしまった場合どうしたらいいか。運動にプラスして効率よいサプリをご紹介しておきます。
まずは運動に対する反応をよくしてあげないと、何も始まりません。
海のプラセンタとして美容で注目されるサーモンオバリーペプチド(SOP)に脂肪細胞に対する作用があることがわかりました。
サーモンオバリーペプチド(SOP)は脂肪細胞のノルアドレナリンの感受性を高めるので運動することで肥大した細胞からも
脂肪滴が放出され、脂肪細胞を小さくすることが可能です。



つまりせっかく運動してノルアドレナリンを出してもうまく伝わらないくらい脂肪を蓄積してしまった場合、SOPをサプリメントとして活用することで運動したことが細胞の遺伝子レベルまで伝わりやすくなり、脂肪細胞が溜め込んだ脂肪を放出できるようになることがわかりました。
結果善玉ホルモン用物質のアディポネクチンが出やすくなり、生活習慣病の予防にもつながるわけです。



細胞の運動への反応が良くなったら効果が期待できるのがおなじみ脂肪燃焼系です。羊の肉に含まれることでおなじみのカルニチンです。アミノ酸のリジン、メチオニンから体内で作られます。食事からとった脂肪酸が蓄積しないで筋肉エネルギーになるところのサイクルが動きやすいよう働きます。

もう一つ善玉アディポネクチン繋がりですが、認知症サプリでおなじみフェルガードの米ぬか成分フェルラ酸にアディポネクチンを増加する作用があるのでは?とのこと。フェルガードを活用している糖尿病を併発している認知症患者さんのヘモグロビンA1cが下がったとのこと。認知症の専門医、八王子医療センターの金谷先生が研究されているとのことで今後が楽しみです。
薬剤師K
一覧へ戻る