薬剤師のコラム 第16回 『湿度が気になる季節…食中毒にご用心!』
2011年5月11日

生肉ユッケの食中毒で一躍有名になったO-111ですが、これは大腸菌の一つで、腸管出血性大腸菌と呼ばれます。あの有名なO-157と同じく、菌の表面にあるO抗原グループで111番目に見つかった大腸菌です。O-157より前に見つかったというわけです。どちらも感染力が高く、ごく少量の菌で発症し、ベロ毒素を出します。ベロ毒素は腸管で吸収され、蛋白合成を阻害して腸管の細胞を破壊します。それによって、2~3日で激しい腹痛と下痢の症状で始まり、水様便から血便に移行するようです。ここで市販の下痢止めを飲むと、毒素が排泄できずに重篤化しますので、下痢止めは飲まずに、脱水症状など起こさないようスポーツドリンクなどの水分を摂って病院を受診することをお薦めいたします。さらにベロ毒素が血中に入ることで容血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こし、腎不全、肝障害、脳症を起こして死に至る場合があります。
人から人へ空気感染することはありませんが、家族の糞便、排泄物を始末する時に触れて感染する場合があるので、手洗いをしっかりとして下さい。

腸管出血性大腸菌は牛の糞便から肉に付着します。肉の生食は食中毒の危険と隣り合わせです。しかし、75℃で1分間加熱すれば菌は死滅します。一方、-15℃以下では菌の増殖は止まりますが、死んではいません。そのため冷凍した肉を解凍する時も注意が必要です。常温で解凍するなど長時間かけての解凍はその間に菌が増殖しますので、電子レンジで一気に解凍し、すぐに調理するようにしましょう。前の日のシチューなども75℃までしっかり再加熱しましょう。
それでは、生肉を切った包丁やまな板はどうすればよいでしょうか。アルコール系や次亜塩素酸の殺菌剤は強い抗菌効果がありますが、乾くと同時に効果がなくなってしまします。さらに、お子様やペットのいるご家庭では舐めてしまったらとそれも心配です。
様々な菌に抗菌作用を示し、効果が持続。しかも食物添加物に認められた成分のみで作られていて、舐めても安心。そんな抗菌剤があるんです。
コアラの大好きなユーカリ、そして、カニ・エビからできているキトサンを主成分とした抗菌剤、OJI-ユーカリ抗菌剤です。食中毒の危険から家族を守りたい。こんな時期だからこそ気をつけたいですね。

薬剤師K
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